飲食店の無断キャンセル被害をなくす!現状やキャンセル対策を解説
【前編】無断キャンセル問題を理解し対策するには
目次
前編
飲食店の死活問題「無断キャンセル」について
飲食業界の無断キャンセルの現状
無断キャンセルが増加している3つの原因
無断キャンセルによる飲食店側の損失
飲食店の無断キャンセル対応の課題
無断キャンセルを防ぐためのの5つの予防策
キャンセル料の設定方法と請求方法
予約管理対策で無断キャンセル数が月30件→0件になった成功事例
「テーブルチェック」のキャンセル対策機能
無断キャンセルが起きた後に飲食店がすべき3つの対応策
無断キャンセルの被害は最小限に抑えられる!適切な予防策を実施しよう
飲食店の長年の大きな問題として、無断キャンセル(=ノーショー)が挙げられます。一般的に予約段階で利用者が料金を支払うことがないため、断りのない予約取り消しによる被害が拡大しています。今回は、飲食店における無断キャンセルへの対策や激減させた事例、便利なツールなどを紹介します。
飲食店の死活問題「無断キャンセル」について
飲食店の経営に大きな打撃を与える原因となり得るのが、無断キャンセルです。店舗側では予約内容に合わせて食材を仕入れ、当日スムーズに料理を提供できるように準備を進めています。
飲食店の予約の際には前払いやデポジットの入金を導入しているケースが少ないため、予約をしたお客様がお店に現われなかった場合、かかった労力や用意した料理が無駄になってしまいます。無断キャンセルの被害は飲食業界の深刻な課題として、今後対策を進めていく必要があるでしょう。
ここでは、無断キャンセルとドタキャンの違いや、無断キャンセルの実態について解説します。
無断キャンセルとドタキャンの違い
同じキャンセルでも、無断キャンセルとドタキャンは意味が異なります。
ドタキャンは、「土壇場でキャンセルする」からきた言葉です。つまり、直前にキャンセルすることであり、直前ではありますがキャンセルの連絡が入ります。一方の無断キャンセルは、連絡なくキャンセルすることを指します。
無断キャンセルの場合は、お客様が来店するかどうかが時間になってもわからず、席を無駄に開けておかなければなりませんが、事前連絡のあるドタキャンでは当日客を案内できます。そのため、どちらも飲食店にとっては負担がかかる行為ですが、事前連絡のあるドタキャンの方が当日対応の余地ができるといえます。
無断キャンセルの実態
飲食業界におけるキャンセル問題は、重大な課題です。特に、無断キャンセルは、キャンセル料の回収すらできないため、飲食店に大きな損失が発生します。
無断キャンセルは増加しており、被害額は年間約2,000億円にものぼるとされています。これを受けて、国も社会問題として対策に取り組んでいます。2018年には、経済産業省の有識者勉強会がまとめた「No Show対策レポート」が発表されました。さらに東京都料理生活衛生同業組合も、「No show 飲食店における無断キャンセルの対策ガイドライン」を策定しています。
参考:サービス産業の高付加価値化に向けた外部環境整備等に関する有識者勉強会「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」
飲食業界の無断キャンセルの現状
ニュースなどでも無断キャンセルに関する報道が数多く見受けられます。最近では、人気ラーメン店で悪質な無断キャンセルが相次いでいるとの報道もありました。
“ラーメン界の異端児”の店で無断キャンセル多発 10人予約を14回も…嫌がらせ?店主怒り「しょうもないことはやめなさい」
これまでも無断キャンセルの事例は数多く、飲食業界で深刻な問題となっています。
消費者調査からみる、無断キャンセルの理由
テーブルチェックではこれまで過去4回にわたり「飲食店の無断キャンセルに関する消費者意識調査」を実施しています。
◆【2020年版】第4回「飲食店の無断キャンセルに関する消費者意識調査」
2020年に実施した調査結果から、無断キャンセルをした理由のトップは、第1回目から変わらず「場所確保のためとりあえず」でした。コロナ下では「体調不良」といった理由が上位に入りましたが、依然として「うっかり忘れ」や「複数店を同時予約」が上位を占めています。
無断キャンセルはしてはいけないことと理解しているはずなのに、それでも被害が多発しているのはなぜなのでしょうか?
テーブルチェックでは無断キャンセルに関する消費者調査を実施しています。詳しくは過去の調査レポートをご覧ください。
◆第1回「飲食店の無断キャンセルに関する消費者意識調査」を実施
◆第2回「 飲食店の無断キャンセルに関する消費者意識調査」を実施
◆第3回「 飲食店の無断キャンセルに関する消費者意識調査」を実施
◆【2020年版】第4回「飲食店の無断キャンセルに関する消費者意識調査」
無断キャンセルが増加している4つの原因
無断キャンセルが問題が深刻化しているのには、以下のような原因があります。
予約ツールの普及や多様化のため
ネット予約のポイント稼ぎのため
キャンセル料の支払いを免れるため
予約を忘れてしまうため
予約ツールが普及し、いつでも気軽に予約できるようになったのが大きな原因です。そのほかポイントを狙った悪質なケースや、キャンセル料を支払いたくないあまりに無断キャンセルするケースもあります。
ここでは、それぞれの原因について見ていきましょう。
1.予約ツールの普及や多様化のため
従来は予約するためには店舗に電話する必要がありました。しかし、昨今では予約ツールが普及し、スマホからいつでもどこでも気軽にネット予約ができるようになりました。予約のハードルが下がりましたが、同時に「とりあえず」予約する人も増加しています。とりあえず予約をして、当日の気分や天候などを理由に、無断キャンセルする人が増えていると言えます。
また、予約ツールの多様化も無断キャンセルの要因となっています。無断キャンセルの際に利用していた予約手段は「グルメサイト」が最多となっています。また、グルメサイトのほか、店舗の公式ホームページや、FacebookやInstagramなどのSNS、Google マップと連動した「Googleで予約」など、さまざまなツールを使い、「とりあえず複数店舗を押さえて、当日に行くお店を決めよう」と、同じ日時に複数予約するケースが増えました。その結果、どのツールでどのお店を予約したのかがわからなくなり、無断キャンセルにつながってしまう傾向が近年増加しています。
2.ネット予約のポイント稼ぎのため
ネット予約のポイントを稼ぐために、わざと無断キャンセルする場合もあります。ポイントが貯まるグルメサイトなどでは、キャンセルが発生すると店舗側がシステム上で処理を行って、ポイント付与が無効になる仕組みです。
しかし、店舗側が処理を忘れてしまうと、ポイントが付与されてしまいます。これを利用して、無断キャンセルを繰り返す悪質なケースが少数ながら存在するのが現状です。
3.キャンセル料の支払いを免れるため
店舗によっては、当日や前日などのキャンセルにキャンセル料を定めています。キャンセル料が発生する場合、キャンセルの連絡を入れるとキャンセル料を請求されてしまうため、連絡したくないという人も多いのが実情です。
キャンセル料は、連絡の有無にかかわらず発生するものですが、支払いを免れようと無断キャンセルをしたくなってしまう気持ちも想像に難くないでしょう。
4.予約を忘れてしまうため
悪意のある無断キャンセルもあれば、意図的ではない無断キャンセルもあります。予約をしたのが1カ月以上前など長期間空いてしまう場合は、顧客も予約したことを忘れている場合があります。
無断キャンセルによる飲食店側の損失
無断キャンセルが発生することで、店舗側には金銭的な被害のほかにも、次のような損失が出ます。
食品ロスが発生する
スタッフの士気が低下する
来店客の席が確保できない
飲食店の経営で無視できないのが食品ロスです。無断キャンセルの場合は、ほかのお客様に料理を提供するのが難しく、せっかく準備した食材や料理が無駄になってしまいます。マナーの悪い利用者への対応に追われ、店舗スタッフの士気が下がる恐れもあるでしょう。
無断キャンセルは来店の有無に確信がもてないため、店舗側は席を確保して待機しなければなりません。そのタイミングで来店してくれたお客様がいても、すぐに席に案内することができずビジネスチャンスを逃してしまうでしょう。
飲食店の無断キャンセル対応の課題
飲食業界の無断キャンセルが深刻化してしまっているのには、店舗側の問題点も影響しています。効果的な対応策を取りたいと考えてはいるものの、以下のような理由で対応が遅れている店舗が多いのが実情です。
無断キャンセルの対応に時間を割けない
無断キャンセルをした顧客の特定が難しい
悪評を恐れて無断キャンセル料を請求できない
ここでは、飲食店の無断キャンセル対応における3つの課題について解説します。
無断キャンセルの対応に時間を割けない
無断キャンセルが横行してしまっているのには、対応策を実施できている店舗が少ないことが影響しています。普段の店舗運営に加えて無断キャンセル対応策を実施しなければならないため、時間の捻出が難しい場合もあるでしょう。
キャンセルの予防策を立てることに始まり、損失が発生してしまった後のキャンセル料の請求など、対応にあたるスタッフの負担は大きくなります。
無断キャンセルをした顧客の特定が難しい
無断キャンセルの問題解決をより難しくしているのは、顧客情報の特定が難しいことです。予約の際に偽りの情報で処理がされてしまっていると、個人情報を頼りに事実の解明やキャンセル料の請求ができません。
連絡先を遮断されてしまったり、意図的に連絡を絶たれたりする場合も、店舗側が途中で諦めてしまうケースが多いでしょう。
悪評を恐れて無断キャンセル料を請求できない
飲食店は利用者の口コミが集客に影響するため、悪評がついてしまうのを恐れて、無断キャンセル行為に対して強い対応ができない場合があります。最終的にキャンセル料を手にすることができても、悪い評判が広まり今後の集客にとってマイナス要素になってしまう可能性は否定できません。
インターネットが広く利用されている現代だからこそ、口コミの取り扱いに気を使っている飲食店が多く、無断キャンセルへの対応が遅れてしまっています。
無断キャンセルを防ぐための5つの対策
無断キャンセルの発生をできるだけ予防するには、次の5つの対策が効果的です。
キャンセルポリシーやキャンセル料を定める
キャンセル連絡がしやすい仕組みを整える
電話やSNSの自動連絡でリマインドを行う
予約時にクレジットカード情報を入力してもらう
一部前払い(デポジット)制度を導入する
各ポイントを確認し、店舗で取り入れられるものがあればぜひ参考にしてみてください。ここでは、5つの対策について解説します。
1.キャンセルポリシーやキャンセル料を定める
無断キャンセルをする方の中には、「実際に店舗を利用していないのだから、お金は払わなくてよい」と考える方もいます。そのため、一定のキャンセルではキャンセル料が発生する旨をキャンセルポリシーとして定め、予約時に提示することが大切です。
「前日までの連絡ならキャンセル料はかかりません。当日キャンセル(連絡あり)の場合は50%、当日キャンセル(連絡なし)の場合は100%のキャンセル料金が発生します。」のように、キャンセルのケースごとにキャンセル料を設定し、予約時に明示しておきましょう。
また、「予約の時間から15分経過すると自動的にキャンセルになります。」のようなポリシーを定めることで、お客様が現れなかったときに当日客を入れられます。
2.キャンセル連絡をしやすい仕組みを整える
あえてキャンセルがしやすい仕組みを導入することも、無断キャンセルを減らす効果があります。特に直前のキャンセルの場合は、店舗に電話をするのが億劫だと感じる利用者も多いでしょう。
そこで、オンライン予約システムやSNSで予約取り消しができるようにしておくと、意図的な無断キャンセルを減らせる可能性があります。もちろんキャンセルポリシーを細かく決めておくなど、損失が出ない工夫も一緒に検討しなければなりません。
3.電話やSNSの自動連絡でリマインドを行う
無断キャンセルを防ぐ基本的な対策は、電話やSNSを利用したリマインドです。意図的でない無断キャンセルに関しては、予約の前日や当日にリマインドをすることで防げる可能性が高いでしょう。
食材の準備が必要な場合は、仕入れのスケジュールに合わせて余裕をもったタイミングでリマインドを行います。テーブルチェックなどの予約システムを利用していれば、SMS(ショートメッセージ)で自動的にリマインドしてくれる機能があるため、手間をかけずにリマインドを完了させられます。
4.予約時にクレジットカード情報を入力してもらう
無断キャンセル対策として、最も確実で効果的なのが、予約時にクレジットカード情報を入力してもらうことです。テーブルチェックでは、キャンセル対策機能として、多くのお店で活用されています。
20名以上の団体客のみ、海外のお客様のみ、プランごとなど柔軟な設定が可能です。また、クレジットカードの与信枠をおさえておくだけだったり、事前決済にしたり、デポジット制にしたりとその形態もお店に合わせた設定ができる仕組みです。
電話予約に対してもキャンセル対策をご希望の場合は、かかってきた電話に対し、自動応答で公式ネット予約ページのURLをSNSで送信するなどができます。
最近では、このキャンセル対策機能と合わせて、当日店頭でのお会計が不要になる「コンタクトレス決済」の利用店舗も増加しています。事前に入力いただいたクレジットカード情報に請求をかけるだけであるため、お会計でお客様をお待たせすることなくお帰りいただける機能です。
詳しくは下記ページをご覧ください。
5.一部前払い(デポジット)制度を導入する
一部前払い制度やデポジット(預かり金)制度の導入も、無断キャンセルを防ぐ1つの方法です。予約のハードルは上がりますが、事前に代金の一部を支払ってもらえれば、よほどのことがない限り来店してもらえます。お店に現れなかった場合も、事前に預かっているお金からキャンセル料を差し引けば、損失を埋め合わせられるのがメリットです。
特に、貸切や大人数での予約など、無断キャンセル時の損失が大きい予約の場合は、一部前払い制度やデポジット制度を導入してみてはいかがでしょうか。
導入の際は、制度に対応した予約システムや決済を整備しましょう。
後編では、キャンセル料の設定方法と、もし無断キャンセルが発生してしまったら?飲食店がするべき対応、テーブルチェックの機能を活用した事例をご紹介します!